ゆるくだらだらとその日思考を書き殴ってます。
たまに痛い発言や小話が飛び出すこともあり。コメントはご自由にどうぞ。
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相変わらず、よく解らない内容の依頼だった。
例えばの話。
紙で指を切ったり、カッターナイフで手を切ったりする事がある。
でも、それは出血多量になったり、何処かの箇所が未来永劫動かないということは無い。その内瘡蓋が覆い、時に跡となったりするにせよ、いつかは塞がる。
機織綾図という人間には最悪が実行出来る。
兎に角、『切る』もしくは『斬る』媒介となる切れるものがあれば、その気になれば紙で人を八つ裂きにすることも、壁を切ることも可能である。
夢を見なくなった引き換えに。
綾図と同じように奇怪な才を持つ者は昔からちらほらといたらしいが、此処数年で劇的に増加の一途を辿っている。
『欠落者症候群』もしくは『夢見ぬもの症候群』。感情理解欠落、身体能力不良、欠如が起こす、謎の奇病。
それによって生じた能力を賽(気まぐれな不運という意味で才と同音のこれが使われているとのこと)と呼び、政府に登録、保護される。賽に応じて国の執行人にもなれる様である。
幸か不幸か、綾図の親友とその妹は『欠落者』であった。
妹は登録だけに済ませたかったらしいが、賽の規模が規模なので時々要請を受けているらしい。
綾図も時々要請を受ける身であったりする。何でかは知らないが、珍しい賽である様で、現に執行管理部から長が鍵をピッキングして直々に部屋にいたりする。そして脅迫まがいなスカウトを繰り返す。
一重に綾図が要請を受けるようになったのは、親友の能力の正体をかぎつけられたからだ。
不安定故に低級と認定される水を操る賽としか認定されていない彼。
『あの時』―――綾図と親友が高校生だった時に、『覚醒者の刃』に取り付かれた綾図の切断を受けて、それさえも殆ど喪ってしまった。
(それがより最悪の事態を生んでしまったのだけれど)
「で聞いてるのか、機織」
「あーはい。聞いてます聞いてます」
「明らか聞いてないだろ、その反応」
何故か年中革のロングジャケットを羽織り、咥え煙草がトレードマーク。目つきが最悪、加えて性格も最悪。女に対する手の早さは綾図と同等かそれ以上である。それが目の前の執行管理部の長様々――長谷川鴬汰(はせがわおうた)である。
「なんでしたっけ。変な依頼やったら奥さんに浮気ばらしますよ」
「地味な上にかなり確信ついた嫌がらせだな、おい」
自分で入れておいて、「渋い」といいながら飲んでいる茶を啜りながら挨拶程度の毒の応酬が続く。
「今日俺学校なんですけど、ホンマ見逃してきれません?」
「お前学校とか真面目に行く口じゃねえだろ・・・ああ、あの可愛い子が一緒か。うちのにゃ負けるがなかなか」
「いや、あいつ男ですから」
「んで依頼なんだけどよお」
「話聞けや」
「幽霊退治して欲しいんだわ」
一瞬、思考が固まった。この男は一体なんて言った。
「正確にゃ、幽霊か『欠落者』か確認して欲しい。こっから近いし」
ぴらりとだされたのは、此処から程近い池のある公園だった。
「幽霊なんて見えませんよ、俺」
「・・・・・なんなら、可愛い子――『母海の赤子』を使おうか?拘束して」
「・・・・・・・・」
「わかってんのか、こっちはいくらでも権力でてめえを強制させることぐらい可能なんだよ」
最後はかなりいい笑顔で綾図が頷くこととなる。
こうして妙な依頼は幕を開けたのだった。
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いろいろ詰め込みで、もさもさしていますね。
読みづらくてすみません。
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